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null「貧乏人だから泥棒がその中から出ても仕方がないと言うんですよ」 「うん」  今度は西尾氏にも判りそうであった。 「でも、警察とグルになった泥棒をしてはいけない」 「そんな……」  西尾氏は呆《あき》れたように悠さんの顔を見た。長い木のカウンターにずらりと客が並んでいて、店の中には焼鳥の煙がたちこめていた。 「そういうケースがないとは言えないでしょう」  下町が言ったので、西尾氏は少し納得《なつとく》したようだった。 「政治がらみというわけか」 「そう。アメリカにありましたね。なんとかゲート事件というのが」  悠さんはコップの酒をぐいと飲んだ。 「お婆ちゃんはきっとそれを言ってるんですよ。その新興宗教の件に関しては、どんなにリスクがなかろうと、いやリスクがないからこそ、手を出してはいけないんだ、って、そう言ってるんですよ」 「悠さんもそう思うんだね」  下町が尋《たず》ねた。 「ええ。お婆ちゃんの意見に全面的に賛成です。だって、それでいくらか儲けたあとのことを考えてごらんなさいよ。一時はその金でひと息ついたって、所詮《しよせん》貧乏人だもの、またやりたくなるにきまってる。お婆ちゃんはね、所長たちが好きでたまらないんですよ。死ぬまで貧乏仲間でいようと言っているんじゃないですか。それを判ってあげなければ」 「この次は、こっちから調査費を出して、リスクのない政治がらみの金儲けを探してもらうことになるわけか」  西尾氏が考え考え言った。 「たしかにそうかも知れないな。金儲けじゃなくてもいい。たとえば融資問題にしたって、相手の個人的な弱点を掴んでいれば、話はずっとし易くなるものな」