收藏

パネライルミノールマリーナ1950 3デイズオートマティック42編集

「宇津木先生をここに呼んでいただきましょう。ここで話をお聞きになるといい。そうすりゃあたしらも一緒に宇津木先生の言い分が聞けるわけだから。校長先生、お願いしますよ。宇津木先生を呼んでください」 「そうしますか……」  曖昧《あいまい》な口調で言って、高沢が立ちあがった。女子職員が職員室に宇津木を呼びに走った。宇津木は時計を見て、女子職員に、午後の最初の授業のクラスを自習時間にするように伝えてほしい、と頼んで腰をあげた。  宇津木が応接室に現われると、甲田茂久が閉じていた眼を開けた。ソファのうしろに立っている手塚も宇津木を見た。宇津木に向けられた甲田の視線は穏やかだったが、手塚の眼は不気味にすわっていた。熊谷は、高沢の隣に腰をおろした宇津木を、無表情な眼で見やった。  高沢が来客三人を宇津木に引き合わせた。宇津木は立ちあがって、三人に向って名乗り、ていねいに頭を下げた。宇津木の唇はまだ大きく脹《は》れあがって、裂けたところに血の色が見えた。切れた耳にはテープが大きく貼ってあった。高沢は宇津木の怪我を、自転車でころんだせいだ、と聞かされていた。 「用件はおわかりですね、宇津木先生」  甲田が、宇津木がソファに腰をおろすのを待って言った。声はあいかわらず静かだった。 「昨日の甲田君との件ですね?」  宇津木が言った。 「レイプ事件があったというのは、事実なんですか? 宇津木先生」  高沢が訊いた。 「甲田君はそのことも話してるんですね?」  宇津木は甲田に眼を向けたままで言った。 「話しちゃまずかったですか、先生」  甲田の口もとにかすかな笑いが一瞬、浮かんだ。 「ぼくはかまいません。だが、被害者の女生徒の気持を考えると、できればレイプのことは内密にしといてやりたかったですね」 「藤田圭子がレイプを受けたというのはほんとうなんですか? 宇津木先生」  高沢が訊いた。
表示ラベル: